「楽な運動強度」とは
このページの計算機は、年齢と安静時心拍数の2つを入れるだけで、「予備心拍数(HRR)」の40%・45%・50%にあたる心拍数(1分あたりの拍数=bpm)を出します。予備心拍数とは、最大心拍数から安静時心拍数を引いた「心臓が余力として使える幅」のことです。その幅の4〜5割しか使わない強度が、ここでいう「楽な運動強度」です。
対象になるのは、これから運動を始める人、しばらく運動から離れていた人、体重が重く関節への負担が気になる人、高齢の方、医師から「軽い運動から」と言われている人などです。息が上がらず会話ができる強さなので、ウォーキングや軽い自転車こぎのペース配分の目安として使います。逆に、持久力を高めたい・記録を伸ばしたいという目的の人には物足りない強度で、その場合は50%を超える範囲を別の計算機(目標心拍数計算機)で確認してください。
計算式と手順(カルボーネン法)
計算機が使っている式は、フィンランドの生理学者カルボーネン(Karvonen)が1957年に示した方法で、次の3ステップです。
- 最大心拍数 = 220 − 年齢
- 予備心拍数(HRR)= 最大心拍数 − 安静時心拍数
- 目標心拍数 = 安静時心拍数 + 予備心拍数 × 運動強度(0.40〜0.50)
数値例:40歳・安静時心拍数65bpmの場合
最大心拍数 = 220 − 40 = 180bpm
予備心拍数 = 180 − 65 = 115bpm
40% = 65 + 115 × 0.40 = 111bpm
45% = 65 + 115 × 0.45 = 116.75 → 117bpm
50% = 65 + 115 × 0.50 = 122.5 → 123bpm(小数第1位を四捨五入)
数値例:70歳・安静時心拍数75bpmの場合
最大心拍数 = 150bpm、予備心拍数 = 75bpm。40% = 75 + 75 × 0.40 = 105bpm、50% = 75 + 37.5 = 112.5 → 113bpm。同じ「楽な強度」でも、40歳の人より10bpm以上低い心拍数が目安になります。年齢を無視して「心拍数120で歩く」と決めてしまうと、高齢の方には強すぎることがあるのはこのためです。
安静時心拍数は、起床直後に横になったまま、手首の内側(親指側)に指を当てて1分間数えるか、15秒数えて4倍します。3日ほど測って平均を取ると安定します。運動中の心拍数は、心拍計付きの腕時計を使うか、運動を一瞬止めて10秒数えて6倍すると測れます。
年齢・安静時心拍数別の早見表
上の式で計算した「楽な運動強度」の心拍数です(単位はbpm)。安静時心拍数が高い人ほど目標も高くなる点に注目してください。
| 年齢 | 安静時 | 最大心拍数 | HRR | 40% | 45% | 50% |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 20歳 | 60 | 200 | 140 | 116 | 123 | 130 |
| 30歳 | 60 | 190 | 130 | 112 | 119 | 125 |
| 40歳 | 55 | 180 | 125 | 105 | 111 | 118 |
| 40歳 | 65 | 180 | 115 | 111 | 117 | 123 |
| 40歳 | 80 | 180 | 100 | 120 | 125 | 130 |
| 50歳 | 70 | 170 | 100 | 110 | 115 | 120 |
| 60歳 | 70 | 160 | 90 | 106 | 111 | 115 |
| 65歳 | 72 | 155 | 83 | 105 | 109 | 114 |
| 70歳 | 75 | 150 | 75 | 105 | 109 | 113 |
厚生労働省の運動ガイドとの関係
厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」は、成人に対して「歩行またはそれと同等以上の強度(3メッツ以上)の身体活動を1日60分以上(1日約8,000歩以上)」「息が弾み汗をかく程度の運動を週60分以上」「筋力トレーニングを週2〜3日」を推奨しています。高齢者版では「1日40分以上(約6,000歩以上)」が目安です。メッツとは安静時を1とした強度の倍率で、普通の歩行が3メッツにあたります。
この計算機の40〜50%の心拍数で行うウォーキングは、ちょうど「歩行と同等の強度」に相当し、ガイドの「1日60分」を積み上げる土台になります。ガイドは「1回20分以上続けないと効果がない、といった最短時間はない」とも明記しているので、10分の散歩を数回に分けても構いません。
よくある間違い・注意点
- 「最大心拍数 × 40%」と混同する:40歳なら180 × 0.4 = 72bpmとなり、安静時とほぼ同じで運動になりません。カルボーネン法は「安静時心拍数を足してから」強度を掛ける点が違います。
- 安静時心拍数を日中に測る:座ってすぐや食後・カフェイン摂取後は5〜10bpm高く出ます。目標心拍数も同じ分だけずれるので、起床直後の値を使ってください。
- 220 − 年齢はあくまで平均:同じ年齢でも実際の最大心拍数には個人差(±10bpm程度)があります。計算結果より明らかに息が苦しい場合は、数字より体感を優先してください。
- 薬で心拍数が上がりにくい人:厚労省の安全ガイドは「高血圧に対する一部のカルシウム拮抗薬、α遮断薬、β遮断薬等は心拍数に影響を与える」ため、心拍数が強度の目安にならないと注意しています。該当する方は「会話ができるか」「少し息が弾む程度か」という主観的な強さ(自覚的運動強度)を目安にしてください。
- 血圧が高いときに始める:同ガイドでは、上の血圧180mmHgまたは下の血圧110mmHg以上のときは運動を控えるよう示されています。運動中に胸痛・動悸・めまい・冷や汗があれば、すぐに中止してください。
関連する計算機
- 目標心拍数計算機:50〜85%など中〜高強度のゾーンも含めて計算
- ランニングペース計算機:距離とタイムからペースを計算
- 消費カロリー計算機:運動の種類と時間から消費エネルギーを計算
- 血圧平均計算機:運動前の血圧チェックの記録に
特徴
- 息切れせず会話できる
- 長時間(30分〜1時間)続けられる
- 関節への負担が少ない
- ストレス軽減・睡眠改善効果
- 毎日続けられる強度
推奨される運動
- ウォーキング(時速4〜5km)
- ゆったりした水中歩行
- 軽いヨガ・ストレッチ
- ガーデニング・家事
- サイクリング(時速10〜15km)