除脂肪体重(LBM)とは
除脂肪体重(LBM:Lean Body Mass)は、体重から脂肪組織を除いた残りの重量です。 筋肉・骨・内臓・水分・血液などが含まれます。除脂肪量(FFM:Fat-Free Mass)とほぼ同じ意味で使われます(厳密には LBM はわずかに脂質を含む)。
ダイエット・ボディメイクでは、体重よりも除脂肪体重を維持・増加させながら脂肪を減らすことが理想とされます。基礎代謝量や薬剤投与量の算定基準にも使われる重要な指標です。
この計算機は、性別・身長(cm)・体重(kg)を入れるだけで、身長と体重から除脂肪体重を推定する代表的な3つの式(Boer・James・Hume)の結果と3式平均、平均値から逆算した推定体脂肪率を同時に表示します。 体組成計で測った体脂肪率を任意で入力すると、「体重 × (1 − 体脂肪率 ÷ 100)」で求めた実測ベースの除脂肪体重と脂肪量も並べて比較できます。 減量中に「落ちたのは脂肪か筋肉か」を確かめたい人、筋トレの成果を体重以外の指標で追いたい人、Katch-McArdle 式で基礎代謝を計算するために除脂肪体重が必要な人に向いています。結果はあくまで目安で、体調や治療に関わる判断は医師・管理栄養士にご相談ください。
3つの計算式
本ツールでは、医学・栄養学で広く使われる3つの式で同時計算します。
女性: LBM = 0.252 × 体重(kg) + 0.473 × 身長(cm) − 48.3
医薬品投与量の計算で広く使われる式。
女性: LBM = 1.07 × 体重 − 148 × (体重 ÷ 身長)²
体重に対する非線形項を含み、肥満者でも安定する。
女性: LBM = 0.29569 × 体重 + 0.41813 × 身長 − 43.2933
最も古典的な式。後の研究の基礎となった。
計算の手順と具体例
3つの式はいずれも「体重の何倍か」と「身長の何倍か」を足し引きする単純な一次式(James 式だけ体重÷身長の2乗の項を含む)なので、電卓でも追えます。初期値の男性・身長170cm・体重65kgで手計算すると次のとおりです。
- Boer 式:0.407 × 65 + 0.267 × 170 − 19.2 = 26.455 + 45.39 − 19.2 = 52.6 kg
- James 式:1.1 × 65 − 128 × (65 ÷ 170)² = 71.5 − 128 × 0.1462 = 52.8 kg
- Hume 式:0.32810 × 65 + 0.33929 × 170 − 29.5336 = 21.33 + 57.68 − 29.53 = 49.5 kg
- 3式平均:(52.6 + 52.8 + 49.5) ÷ 3 = 51.6 kg、推定体脂肪率 = (65 − 51.6) ÷ 65 × 100 = 約20.6%
- 体組成計の体脂肪率が20%なら、実測ベースの除脂肪体重 = 65 × (1 − 0.20) = 52.0 kg、脂肪量 = 65 − 52.0 = 13.0 kg
女性・身長158cm・体重52kgの場合は、Boer 式 0.252 × 52 + 0.473 × 158 − 48.3 = 39.5 kg、James 式 1.07 × 52 − 148 × (52 ÷ 158)² = 39.6 kg、Hume 式 0.29569 × 52 + 0.41813 × 158 − 43.2933 = 38.1 kg で、3式平均は 39.1 kg(推定体脂肪率 約24.8%)になります。体脂肪率28%を入力すれば、実測ベースは 52 × 0.72 = 37.4 kg、脂肪量 14.6 kg です。
求めた除脂肪体重は、基礎代謝量計算機の Katch-McArdle 式(BMR = 370 + 21.6 × 除脂肪体重)にそのまま使えます。上の男性の例なら 370 + 21.6 × 51.6 = 約1,485 kcal/日が基礎代謝の目安です。
身長・体重別の除脂肪体重 早見表
よくある体格で3式の結果を並べました(単位 kg、小数第1位まで)。3式の幅が2〜4kg程度あることが分かります。同じ身長なら体重が重いほど除脂肪体重の推定値も大きくなりますが、増えた体重がすべて筋肉とは限らない点に注意してください。
| 性別・身長・体重 | Boer | James | Hume | 3式平均 | 推定体脂肪率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 男性 160cm・55kg | 45.9 | 45.4 | 42.8 | 44.7 | 18.7% |
| 男性 170cm・65kg | 52.6 | 52.8 | 49.5 | 51.6 | 20.6% |
| 男性 175cm・75kg | 58.0 | 59.0 | 54.4 | 57.2 | 23.8% |
| 男性 180cm・85kg | 63.5 | 65.0 | 59.4 | 62.6 | 26.3% |
| 女性 150cm・45kg | 34.0 | 34.8 | 32.7 | 33.9 | 24.8% |
| 女性 158cm・52kg | 39.5 | 39.6 | 38.1 | 39.1 | 24.8% |
| 女性 165cm・60kg | 44.9 | 44.6 | 43.4 | 44.3 | 26.1% |
| 女性 170cm・70kg | 49.8 | 49.8 | 48.5 | 49.3 | 29.5% |
※ 推定体脂肪率は「(体重 − 3式平均) ÷ 体重」で逆算した参考値です。実際の体脂肪率とは異なることがあります。
体組成の構成
- 水分: 体重の 約60%
- たんぱく質(筋肉中心): 約16%
- 脂肪: 約15〜20%
- 無機質(骨など): 約6%
- その他: 約1〜2%
水分・たんぱく質・無機質・その他の合計が「除脂肪体重」≒ 体重の80〜85%。
体脂肪率の目安(日本人成人)
| 区分 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 必須脂肪(最低限) | 3〜5% | 10〜13% |
| アスリート | 6〜13% | 14〜20% |
| フィットネス | 14〜17% | 21〜24% |
| 標準 | 18〜24% | 25〜31% |
| 肥満 | 25%以上 | 32%以上 |
出典: American Council on Exercise(参考)
用途
- ダイエットの目標設定: 体重ではなく LBM を維持・増加
- 筋トレの効果測定: 筋肉量の増減を体重変化と切り分け
- 基礎代謝量の精密計算: Katch-McArdle 式は LBM ベース
- 薬剤投与量: 一部の薬剤は LBM や除脂肪体重当たりで投与
- 透析・栄養療法: たんぱく質必要量の算定など
体脂肪率の正確な測定方法
より正確な体組成を知りたい場合は、以下の測定法があります(精度の高い順)。
- DXA(二重エネルギーX線吸収法): 医療機関、最も正確
- 水中体重測定法: 研究室レベル、精度高い
- 空気置換法(BodPod): スポーツ施設等
- InBody 等の業務用 BIA: フィットネス施設の測定機
- 家庭用体組成計(BIA): 簡便だが誤差あり(±3〜5%)
- キャリパー(皮下脂肪計): 訓練が必要
- 本ツールのような推定式: 身長・体重から推定(誤差±5〜10%)
よくある間違い・注意点
- 単位は cm と kg:身長を m(1.70)で入れると各式の身長項がほぼゼロになり、結果が大きく崩れます。フィート・ポンド表記の数値もそのまま入れないでください。
- 3式は「平均的な体型」から作られた推定式:身長と体重しか使わないため、筋肉量が多い人は除脂肪体重を低めに、脂肪が多い人は高めに見積もる傾向があります。同じ身長・体重なら誰でも同じ値になる、という限界を理解して幅で読んでください。
- 「体脂肪率からの実測値」も推定を含む:家庭用体組成計の体脂肪率は電気抵抗(BIA)からの推定で、入浴・運動・食事の前後で数%動きます。同じ時間帯・同じ条件で測った値を入れて比べるのが基本です。
- 短期間の増減は水分の変動が大きい:除脂肪体重には体水分が含まれるため、数日単位の上下を「筋肉が増えた・減った」と読むのは早計です。数週間〜数か月の傾向で見てください。
- 目標値を自己判断で厳しくしすぎない:体脂肪率を必須脂肪の水準まで落とすことは健康上のリスクを伴います。減量や増量の目標設定は、持病のある方は特に医師・管理栄養士に相談してください。
よくある質問(FAQ)
Q. 3式で結果が違うのはなぜ?
開発時の被験者集団・測定法(DXA / 水中体重 / 同位体希釈法)が異なるためです。日本人では Boer 式が使いやすいとされますが、3式の幅をもって判断するのが安全です。
Q. 体組成計の値とどちらを信じる?
体組成計(BIA)は水分量で誤差が出やすく、本ツールの推定式はあくまで身長・体重からの推定です。両方を比較して判断するのが現実的です。
Q. 子供・妊娠中・授乳中は使える?
本ツールの式は成人向けに開発されています。15歳未満や妊娠・授乳期は別途専門的な評価が必要です。
Q. 除脂肪体重と筋肉量は同じもの?
同じではありません。除脂肪体重には骨格筋のほかに骨・内臓・血液・体水分が含まれます。体組成計が表示する「筋肉量」は除脂肪体重の一部を推定したもので、除脂肪体重より小さい値になるのが普通です。
Q. 減量中に除脂肪体重が減ったら失敗?
体重が減れば除脂肪体重(特に体水分)もある程度は減るため、少しの減少は自然です。ただし体重減少の大半が除脂肪体重の減少なら、たんぱく質不足や運動不足の可能性があります。数週間単位で脂肪量と除脂肪体重の変化を並べて見て、気になる場合は管理栄養士や医師に相談してください。
Q. 除脂肪体重が分かると何に使える?
代表的なのは基礎代謝の計算です。Katch-McArdle 式(BMR = 370 + 21.6 × 除脂肪体重)は体脂肪の多少を反映できるため、体格が平均から外れる人に向きます。除脂肪体重1kgあたりのたんぱく質量やトレーニング強度の目安を考えるときの分母としても使われます。
Q. 入力データはどこに保存される?
端末内(ブラウザの localStorage)にのみ保存され、サーバーへ送信することはありません。
関連する計算機
- 基礎代謝量(BMR)計算機 ↗ — Katch-McArdle 式は LBM を使用
- カロリー計算機 ↗ — 基礎代謝・1日の必要カロリー・減量/増量目安
- BMI計算機 ↗ — BMIと日本肥満学会の判定区分・標準体重
参考文献
- Boer P. Estimated lean body mass as an index for normalization of body fluid volumes in humans. Am J Physiol (1984)
- James WPT. Research on Obesity. London: Her Majesty's Stationery Office (1976)
- Hume R. Prediction of lean body mass from height and weight. J Clin Pathol (1966)
⚠ 医療情報に関する注意・出典
出典: Boer P. Am J Physiol (1984)、Hume R. J Clin Pathol (1966)、厚生労働省「食事摂取基準2025」、厚生労働省 e-ヘルスネット「体脂肪率」。 本ページの情報は一般的な健康・栄養知識として提供されるもので、診断や治療の代替にはなりません。具体的な健康判断は、医師・管理栄養士などの専門家にご相談ください。
最終更新日: 2026年9月25日
変更履歴
- 2026年9月25日: 解説・具体例・FAQを追加
- 2026/05/08 — 出典リンク・最終更新日追加
- 初版公開