体表面積(BSA)とは
体表面積(Body Surface Area、略して BSA)は、人体の皮膚の表面の広さを m²(平方メートル)で表した値です。基礎代謝量・抗がん剤投与量・輸液量・心拍出量の指標(CI: cardiac index)などの「体格で補正した値」を出すときの基準として使われます。皮膚の面積を直接測るのは現実的ではないため、身長と体重から推定する公式がいくつも提案されており、このページではその代表的な4つを同時に計算します。
使う場面は、医療従事者が薬剤量の確認に使うほか、看護・薬学の学習で公式ごとの差を確かめたいとき、自分の体格を「体重」以外の指標で把握したいときなどです。なお、実際の薬の投与量は医師・薬剤師が患者の状態に合わせて決めるもので、このページの値はあくまで計算の目安です。
主な公式
H は身長(cm)、W は体重(kg)です。いずれも「体重の何乗 × 身長の何乗 × 係数」という形をしています。
- Du Bois (1916):BSA = 0.007184 × W0.425 × H0.725(国際標準)
- Mosteller (1987):BSA = √(H × W ÷ 3600)(シンプルで広く使われる)
- 藤本式 (1968):BSA = 0.008883 × W0.444 × H0.663(日本人成人)
- 新谷式 (1984):BSA = 0.007358 × W0.425 × H0.725(日本人成人・小児)
Du Bois 式と新谷式は指数(0.425 と 0.725)が同じで係数だけが違うため、新谷式の結果は常に Du Bois 式の 0.007358 ÷ 0.007184 ≒ 1.024 倍、つまり約2.4%大きくなります。Mosteller 式は「身長×体重÷3600 の平方根」という電卓で計算しやすい形で、Du Bois 式とほぼ同じ値になります。
計算手順と数値例
数値例1:身長170cm・体重65kg の場合。Mosteller 式なら 170 × 65 ÷ 3600 = 3.0694… の平方根で 1.7520 m²。Du Bois 式は 0.007184 × 650.425 × 1700.725 = 1.7536 m²、藤本式は 1.7072 m²、新谷式は 1.7961 m² です。同じ人でも公式によって 1.71〜1.80 m² と約5%の幅が出ます。
数値例2:身長160cm・体重50kg の場合。Du Bois 式 1.5011 m²、Mosteller 式 1.4907 m²、藤本式 1.4596 m²、新谷式 1.5375 m² です。
体表面積あたりで量が決まる薬の考え方を確認すると、たとえば「1 m² あたり 80mg」と定められた薬なら、数値例1の人(Du Bois 式 1.7536 m²)では 80 × 1.7536 ≒ 140.3mg が計算上の量になります。どの公式を採用するか、端数をどう丸めるかは施設や薬剤ごとの取り決めに従います。
身長・体重別 体表面積 早見表(4公式)
| 身長 / 体重 | Du Bois | Mosteller | 藤本式 | 新谷式 |
|---|---|---|---|---|
| 150cm / 45kg | 1.370 | 1.369 | 1.335 | 1.403 |
| 155cm / 50kg | 1.467 | 1.467 | 1.429 | 1.502 |
| 160cm / 55kg | 1.563 | 1.563 | 1.523 | 1.601 |
| 165cm / 60kg | 1.659 | 1.658 | 1.615 | 1.699 |
| 170cm / 65kg | 1.754 | 1.752 | 1.707 | 1.796 |
| 175cm / 70kg | 1.848 | 1.845 | 1.799 | 1.893 |
| 180cm / 80kg | 1.996 | 2.000 | 1.944 | 2.045 |
| 185cm / 90kg | 2.141 | 2.151 | 2.086 | 2.193 |
※ 単位は m²。上の計算機と同じ式で計算し、小数第4位を四捨五入。
活用例
- 抗がん剤の投与量計算(mg/m²)
- 基礎代謝率の指標(kcal/m²/時)
- 心拍出量の正規化(CI = CO ÷ BSA)
- 熱傷面積の評価
よくある間違い・注意点
- 単位は cm と kg です。身長を m(1.70)で入れると桁が大きく狂います。Mosteller 式の「3600」も cm・kg 単位を前提にした定数です。
- 公式によって最大5%ほど差が出ます。同じ 170cm・65kg でも藤本式 1.707 m² と新谷式 1.796 m² では約0.09 m² 違います。薬剤量の確認では、その施設・処方で採用している公式に合わせてください。
- 小数第4位までの表示は「見かけの精度」です。体重は1日で1kg前後変動するため、実用上は小数第2位(0.01 m²)程度で読むのが現実的です。
- 公式はあくまで平均的な体型で作られた推定式です。極端な肥満・やせ・むくみがある場合や、乳幼児では実際の体表面積とずれることがあります。小児は新谷式など小児を含む式が参考になります。
- 体表面積は「面積」で、体重とは意味が違います。体重が2倍になっても体表面積は2倍にはなりません(Du Bois 式では体重の0.425乗に比例)。
関連する計算機
- BMI計算機 — 身長・体重から BMI と肥満度を判定
- 基礎代謝量(BMR)計算機 — 4つの推定式で1日の基礎代謝を計算
- 除脂肪体重(LBM)計算機 — 体重から脂肪を除いた重さを推定
- 大人の平均身長・体重 早見表 — 年代別の平均と自分の値を比較