個人年金の雑所得とは
個人年金保険の年金として受け取った金額は、原則として雑所得として課税されます。 受取年金額のすべてに課税されるわけではなく、これまで支払ってきた保険料を「必要経費」として差し引いた残額が課税対象です。 所得税法施行令第82条の3に計算方法が定められています。
計算式
このページの計算機でできること
このページの計算機は、自分で保険料を払って自分で受け取る個人年金保険について、年金の種類(終身・確定・保証期間付き終身・有期)、受取開始年齢と性別、支給期間(保証期間)、年金年額、払込保険料総額を入れると、1年分の必要経費と雑所得の金額を出します。終身型・有期型・保証期間付きでは、受取開始年齢に対応する余命年数を内蔵の表から自動で引きます。
使う場面は、保険会社から届く「年金支払証明書」の数字を検算するとき、確定申告で雑所得の欄に書く金額を用意するとき、受け取り方(一括か年金か、確定か終身か)で課税がどう変わるかを契約前に比べるときなどです。給与所得者なら「雑所得が20万円を超えるか」の判定にも使えます。
手計算の例:確定年金10年・年額120万円・払込保険料総額800万円
- 年金総受取総額 = 120万円 × 10年 = 1,200万円
- 必要経費割合 = 800万円 ÷ 1,200万円 = 0.6666… → 小数第3位切り上げで 0.67
- 必要経費 = 120万円 × 0.67 = 804,000円
- 雑所得 = 1,200,000 − 804,000 = 396,000円(毎年同じ金額)
この例では年金額から対応する保険料を引いた残額が25万円以上なので、保険会社は396,000円 × 10.21% = 約40,431円を源泉徴収してから振り込みます。確定申告ではこの源泉徴収額を精算するため、他の所得が少ない方は還付になることが多いです。同じ契約を65歳男性の終身年金にすると、余命年数15年で総受取総額は1,800万円、割合は800 ÷ 1,800 = 0.444… → 0.45、必要経費540,000円、雑所得は660,000円と大きくなります。受取総額の見込みが多いほど1年あたりの経費配分が薄くなるためです。
年金の種類別の早見表(年額120万円・払込保険料総額800万円・65歳開始)
| 年金の種類・条件 | 計算に使う年数 | 必要経費割合 | 必要経費 | 雑所得(年) |
|---|---|---|---|---|
| 確定年金10年 | 10年 | 0.67 | 804,000円 | 396,000円 |
| 終身年金(男性) | 15年(余命) | 0.45 | 540,000円 | 660,000円 |
| 終身年金(女性) | 18年(余命) | 0.38 | 456,000円 | 744,000円 |
| 保証期間10年付き終身(男性) | 15年(余命>保証) | 0.45 | 540,000円 | 660,000円 |
| 保証期間20年付き終身(男性) | 20年(保証>余命) | 0.34 | 408,000円 | 792,000円 |
| 有期年金20年(男性) | 15年(余命<支給期間) | 0.45 | 540,000円 | 660,000円 |
※ 本ページの計算機と同じ式で算出。余命年数は所得税法施行令別表の65歳の値(男性15年・女性18年)。
払込保険料総額が年金総受取総額以上(元本割れ)のときは、割合が1.0で頭打ちになり雑所得は0円です。例えば確定年金10年・年額60万円(総額600万円)で保険料総額が600万円なら雑所得0円、550万円なら割合0.92で雑所得48,000円、500万円なら0.84で96,000円です。
年金種類による違い(年金総受取総額の計算)
| 年金の種類 | 受取総額の計算 |
|---|---|
| 終身年金 | 受取開始時の余命年数 × 年金年額 |
| 確定年金 | 支給期間 × 年金年額(生死に関わらず確定支給) |
| 保証付き終身 | max(余命年数, 保証期間) × 年金年額 |
| 有期年金 | min(余命年数, 支給期間) × 年金年額 |
余命年数(所得税法施行令第82条の3 別表)
余命年数は、終身年金・保証付き終身・有期年金で「受取開始時点の余命年数」を計算に使います。 所得税法施行令の別表(簡易生命表)に基づき、男女別の値を5歳刻みで以下に示します(計算では各歳の値をそのまま使用します)。
| 年齢 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 40歳 | 36年 | 41年 |
| 45歳 | 32年 | 36年 |
| 50歳 | 27年 | 32年 |
| 55歳 | 23年 | 27年 |
| 60歳 | 19年 | 23年 |
| 65歳 | 15年 | 18年 |
| 70歳 | 12年 | 14年 |
| 75歳 | 8年 | 11年 |
| 80歳 | 6年 | 8年 |
| 85歳 | 4年 | 5年 |
| 90歳 | 3年 | 3年 |
確定申告は必要?
会社員(給与所得者)の場合、給与以外の所得(雑所得を含む)の合計が年20万円を超えると確定申告が必要です。個人年金は雑所得としてこの判定対象になります。
- 年金額から対応する保険料(必要経費)を差し引いた残額が25万円以上の場合、保険会社がその残額に10.21%(所得税+復興特別所得税)を掛けた源泉徴収を行います(残額が25万円未満なら源泉徴収なし)
- 源泉徴収票に基づき確定申告で精算(過不足の還付・追納)
- 年金以外に所得がない場合は、基礎控除等で税額が0になり申告不要のケースもある
よくある間違い・注意点
- 「総支払保険料」を必要経費に入れ忘れる:個人年金は受取額そのものではなく「受取額 − 必要経費」が雑所得です。必要経費 = 総支払保険料 ÷ 年金受取総額(または余命)の比例配分。
- 源泉徴収10.21%は「年金額 − 必要経費」が25万円以上のとき:受取額そのものではなく、必要経費を引いた残額で判定します。源泉徴収は概算なので、確定申告で精算します(還付になることが多い)。
- 余命年数は「受取開始時」の年齢で固定:終身年金の必要経費割合は、受取を始めた年の年齢と性別で決めた余命年数を使い、その後何年生きても割合は変わりません。長生きして総受取額が見込みを超えても、経費割合は据え置きです。
- 契約者と受取人が違うと贈与税:夫が保険料を払って妻が受け取る場合、初年度に保険年金の権利が「贈与」とみなされ贈与税が課されます。家族間の年金契約は要注意。
- 年金特約付き終身保険は対象外:本ツールは個人年金保険を対象としており、終身保険の年金支払特約や変額年金保険は計算が異なります。
- iDeCo・確定給付年金は別計算:iDeCo(個人型確定拠出年金)や企業年金は「公的年金等」として公的年金等控除が適用され、本ツールの私的年金とは異なります。
よくある質問(FAQ)
Q. 一括受取(一時金)にした場合は?
Q. 契約者と受取人が異なる場合は?
Q. 公的年金とどう違いますか?
Q. 保証期間付き終身年金の必要経費は?
Q. 年金開始前に受け取れる「祝金」は?
Q. 確定申告は必須ですか?
Q. 入力データはどこに保存されますか?
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⚠ 出典・注意
出典: 所得税法施行令 第82条の3(e-Gov 法令検索)、国税庁「No.1610 個人年金の収入時の課税関係」、国税庁「公的年金等の課税関係」。 本ツールは試算値で、実際の申告は税務署・税理士にご確認ください。
最終更新日: 2026年9月25日
変更履歴
- 2026年9月25日: 解説・具体例・FAQを追加
- 2026/05/08 — FAQ拡充、注意点・出典リンク追加
- 初版公開