一時所得とは
一時所得は、給与・事業・利子・配当・不動産・退職・山林・譲渡 のいずれにも当てはまらない、営利を目的とする継続的行為から生じない一時の所得のうち、労務や役務の対価ではないものを指します。 所得税法34条に定められ、給与所得などとは異なる独自の計算方法(特別控除50万円+1/2課税)が適用されます。
計算式
特別控除とは
一時所得には50万円の特別控除があります。総収入から経費を引いた残額が50万円以下なら課税されません。 この特別控除があるため、少額の懸賞金・払戻金などは課税対象にならないケースが多くあります。
さらに、特別控除後の金額は1/2だけが課税対象になるため、他の所得と比べて税負担が軽くなる仕組みです。
計算手順と具体例
この計算機は国税庁タックスアンサー No.1490 の式(総収入金額 − 収入を得るために支出した金額 − 特別控除額(最高50万円)= 一時所得の金額)で一時所得を求め、その1/2を「他の所得」に足して速算表(No.2260)に当てはめています。表示される「一時所得分の追加税額」は、一時所得がある場合の税額から、他の所得だけの場合の税額を引いた差額です。
例1(初期値): 総収入200万円、経費50万円、他の所得(課税所得)400万円の場合。一時所得 = 2,000,000 − 500,000 − 500,000 = 1,000,000円、課税対象はその1/2の500,000円。他の所得と合計した課税所得は4,500,000円で、速算表の「330万円超695万円以下」の区分(税率20%・控除額427,500円)に入るため、所得税 = 4,500,000 × 20% − 427,500 = 472,500円、復興特別所得税込みで 472,500 × 1.021 = 482,422円。他の所得400万円だけなら 4,000,000 × 20% − 427,500 = 372,500円なので、一時所得による追加税額は(472,500 − 372,500)× 1.021 = 102,100円です。
例2(生命保険の満期金): 満期保険金500万円、払込保険料の総額400万円、他の所得300万円の場合。一時所得 = 5,000,000 − 4,000,000 − 500,000 = 500,000円、課税対象は250,000円。合計課税所得3,250,000円は「195万円超330万円以下」(税率10%・控除額97,500円)なので所得税は 227,500円、復興特別所得税込みで232,277円。他の所得だけの税額(202,500円)との差額から、一時所得分の追加税額は(227,500 − 202,500)× 1.021 = 25,525円となります。500万円の満期金に対して税負担は約2.6万円で、1/2課税と特別控除の効果が分かります。
早見表:一時所得の金額と追加税額(他の所得400万円の場合)
他の所得(課税所得)が400万円の人が一時所得を得たときの、一時所得分の追加税額(復興特別所得税込み)です。他の所得が違えば税率区分が変わり、結果も変わります。
| 総収入 | 経費 | 一時所得(控除後) | 課税対象(1/2) | 適用税率 | 追加税額 |
|---|---|---|---|---|---|
| 100万円 | 10万円 | 400,000円 | 200,000円 | 20% | 40,840円 |
| 200万円 | 50万円 | 1,000,000円 | 500,000円 | 20% | 102,100円 |
| 300万円 | 200万円 | 500,000円 | 250,000円 | 20% | 51,050円 |
| 300万円 | 280万円 | 0円 | 0円 | — | 0円 |
| 500万円 | 300万円 | 1,500,000円 | 750,000円 | 20% | 153,150円 |
| 1,000万円 | 500万円 | 4,500,000円 | 2,250,000円 | 20% | 459,450円 |
| 1,000万円 | 0円 | 9,500,000円 | 4,750,000円 | 23% | 1,025,084円 |
※ 総収入1,000万円・経費0円の行は、合計課税所得が875万円となり税率区分が23%に上がる例です。一時所得が大きいと、他の所得に適用される税率まで上がることがあります。
確定申告できない懸賞金(源泉分離課税)
国税庁 No.1490 によると、一時所得のうち金融機関などが提供する一定の懸賞金付預貯金の懸賞金等は、受け取るときに20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%+住民税5%)が源泉徴収されて課税が終わる「源泉分離課税」で、確定申告はできません。この種類の懸賞金はこの計算機の対象外です。一般の懸賞や福引きの賞金、競馬・競輪の払戻金、生命保険の一時金などは総合課税の一時所得なので、この計算機で試算できます。
一時所得に該当するもの
- 懸賞・福引きの賞金品(業務に関するものを除く)
- 競馬・競輪などの払戻金(営利目的の継続行為に該当しない場合)
- 生命保険・損害保険の一時金(満期返戻金・解約返戻金など)
- 遺失物拾得の報労金、埋蔵物発見の報労金
- 法人からの贈与(業務関係を除く)
- ふるさと納税の返礼品(時価が50万円超の場合)
所得税の速算表(令和8年)
| 課税対象金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 195万円以下 | 5% | 0円 |
| 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
| 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
| 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
| 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
| 4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
| 4,000万円超 | 45% | 4,796,000円 |
確定申告は必要?
会社員(給与所得者)の場合、給与以外の所得(一時所得を含む)の合計が年20万円を超えると確定申告が必要です。一時所得は1/2が課税対象なので、計算後の金額で判定します。
- 例: 競馬払戻金100万円・経費10万円 → 一時所得 = 100 − 10 − 50 = 40万円 → 課税対象 = 20万円 → 申告必要
- 例: 生命保険満期金300万円・払込総額280万円 → 一時所得 = 300 − 280 − 50 = △30万円 → 0円扱い、申告不要
よくある間違い・注意点
- 「特別控除50万円」を引き忘れない:一時所得は受取額から経費と50万円控除を引いた残額の1/2が課税対象。受取額50万円以下なら課税されません。
- 「1/2課税」が一時所得の特徴:他の所得と異なり、計算後の金額の半分だけが課税対象になります(懸賞金などの臨時所得への配慮)。
- 20万円ルールに注意:給与所得者は一時所得が20万円以下なら申告不要(所得税のみ。住民税は申告必要)。
- 馬券の経費は「的中分のみ」:通常、的中馬券の購入額のみが経費。外れ馬券は経費にできません。
- 「他の所得」は年収ではなく課税所得:この計算機の「他の所得」には、給与収入から給与所得控除・社会保険料控除・基礎控除などを引いた後の「課税される所得金額」を入れます。源泉徴収票の「支払金額」(年収)をそのまま入れると税率区分が高く出て、追加税額を過大に見積もります。
- 特別控除は年間で1回だけ:50万円の特別控除は一時所得の合計に対して1回です。同じ年に懸賞金と保険の満期金の両方があっても、それぞれに50万円を引けるわけではありません。複数ある場合は総収入と経費をそれぞれ合計して入力してください。
- 保険の経費は「自分が払った保険料」だけ:満期保険金の経費にできる払込保険料は、原則として受取人本人が負担した分です。会社が負担した保険料や、契約者貸付で相殺された部分の扱いは契約により異なります。
よくある質問(FAQ)
Q. 馬券の払戻金は全額が一時所得ですか?
Q. 生命保険の満期金は契約者・被保険者・受取人で扱いが変わりますか?
Q. 住民税はどう計算しますか?
Q. ふるさと納税の返礼品は一時所得ですか?
Q. 会社員の「20万円ルール」は一時所得のどの金額で判定しますか?
Q. 一時所得が赤字(経費が収入より多い)のとき、他の所得と相殺できますか?
Q. 入力データはどこに保存されますか?
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⚠ 出典・注意
出典: 国税庁「No.1490 一時所得」、所得税法 第34条(e-Gov 法令検索)、国税庁「所得税の速算表」、国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」。 本ツールは試算値で、実際の申告は税務署・税理士にご確認ください。
最終更新日: 2026年9月25日
変更履歴
- 2026年9月25日: 解説・具体例・FAQを追加
- 2026/05/08 — FAQ拡充、注意点・出典リンク追加
- 初版公開