寄附金の損金算入とは
法人が支出する寄附金は、法人税の計算上、原則として限度額を超える部分は損金不算入となります。 寄附金の種類によって損金算入できる限度額が異なり、寄附先の公益性が高いほど多くの金額を損金として扱えます。
寄附金の3区分
| 区分 | 代表例 | 取扱い |
|---|---|---|
| 指定寄附金 | 国・地方公共団体・財務大臣指定(赤十字、ユニセフ、日本私立学校振興・共済事業団等) | 全額損金算入 |
| 特定公益増進法人 | 公益社団法人・公益財団法人・学校法人・社会福祉法人・更生保護法人等 | 別枠の限度額まで |
| 一般寄附金 | 町内会・神社仏閣・政治団体・上記以外の寄附 | 一般枠の限度額まで |
計算式
特定公益増進法人への寄附金は、「別枠の限度額」と「一般寄附金枠」の合計まで損金算入可能です。 別枠を超えた分は一般寄附金枠から控除します。
計算手順と具体例
国税庁タックスアンサー No.5283 の式に沿って、この計算機は「資本金基準」と「所得基準」の2つを足してから割合を掛けています。手順は次のとおりです。
- 資本金基準 = 期末の資本金の額と資本準備金の額の合計(または出資金の額) × 当期の月数 ÷ 12 × 2.5/1000(特定公益増進法人の別枠は 3.75/1000)
- 所得基準 = 寄附金を支出する前の当期の所得金額 × 2.5/100(別枠は 6.25/100)
- (資本金基準 + 所得基準) × 1/4(別枠は × 1/2)が損金算入限度額
- 実際の寄附金のうち限度額を超えた部分が損金不算入(申告書の別表で所得に加算)
例1(初期値): 資本金等1億円、事業年度12か月、寄附金支出前の所得5,000万円の場合。一般寄附金の限度額は(100,000,000 × 12/12 × 2.5/1000 + 50,000,000 × 2.5/100)× 1/4 =(250,000 + 1,250,000)× 1/4 = 375,000円。特定公益増進法人の別枠は(100,000,000 × 3.75/1000 + 50,000,000 × 6.25/100)× 1/2 =(375,000 + 3,125,000)× 1/2 = 1,750,000円です。
この会社が町内会など一般の寄附先に100万円を寄附すると、損金にできるのは375,000円までで、残り625,000円は損金不算入となり課税所得に加算されます。同じ100万円を公益財団法人(特定公益増進法人)に寄附した場合は、別枠1,750,000円の範囲内なので全額が損金になります。寄附先の区分で結果が大きく変わる点が、この計算機を使う一番の理由です。
例2(事業年度6か月): 例1と同じ資本金・所得で、設立初年度などで当期の月数が6か月の場合、資本金基準だけが 6/12 倍になります。一般寄附金は(250,000 × 6/12 + 1,250,000)× 1/4 = 343,750円、別枠は(375,000 × 6/12 + 3,125,000)× 1/2 = 1,656,250円です。所得基準は月数で按分しません。
早見表:資本金等と所得金額による限度額(12か月決算)
| 資本金等 | 寄附前の所得 | 一般寄附金の限度額 | 特定公益増進法人の別枠 |
|---|---|---|---|
| 1,000万円 | 500万円 | 37,500円 | 175,000円 |
| 1,000万円 | 2,000万円 | 131,250円 | 643,750円 |
| 5,000万円 | 1,000万円 | 93,750円 | 406,250円 |
| 5,000万円 | 3,000万円 | 218,750円 | 1,031,250円 |
| 1億円 | 5,000万円 | 375,000円 | 1,750,000円 |
| 3億円 | 1億円 | 812,500円 | 3,687,500円 |
| 10億円 | 5億円 | 3,750,000円 | 17,500,000円 |
※ 限度額のほとんどは所得基準で決まります。資本金1,000万円の会社なら資本金基準は一般枠で年25,000円分にすぎず、所得がゼロや赤字の年は限度額がごく小さくなります。
資本や出資を持たない法人の場合
一般社団法人・NPO法人・医療法人(持分なし)など資本金や出資金のない法人は、資本金基準がなく所得基準だけで限度額を計算します。国税庁 No.5283 によると、一般寄附金の限度額は所得金額 × 1.25/100、特定公益増進法人への別枠は所得金額 × 6.25/100です。所得5,000万円なら一般寄附金は625,000円、別枠は3,125,000円となります。この計算機は資本金等の欄に0を入れると資本金基準が0円になりますが、割合が異なる(× 1/4 や × 1/2 を掛けない)ため、資本のない法人は上の式で別途計算してください。
よくある質問
Q. 「資本金等の額」とは?
A. 法人税法上の資本金等の額(資本金 + 資本準備金等の合計)です。会計上の純資産とは異なります。
Q. 「所得金額」はいつの数字を使う?
A. 寄附金支出前の当期の所得金額(別表四の仮計までの金額)を使います。
Q. 政治団体への寄附は?
A. 一般寄附金扱いです(個人の場合は別途寄附金控除あり)。
Q. 指定寄附金の見分け方は?
A. 寄附先から発行される領収書に「財務大臣指定の寄附金です」等の記載があります。
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よくある間違い・注意点
- 「指定寄附金」は全額損金算入:国・地方公共団体や日赤、政治献金等、法令で「指定寄附金」とされたものは限度額関係なく全額損金算入できます。
- 「特定公益増進法人」は別枠:認定NPO法人・公益社団法人等への寄附は、一般寄附金とは別枠で限度額が計算されます。
- 限度額超過分は損金不算入:限度額を超えた寄附金は法人税の計算上は損金にならず、課税所得が増えます。
- 役員・株主への寄附は対象外:役員・株主への寄附は給与・配当として扱われ、寄附金の損金算入規定の対象外です。
- 「所得金額」は寄附金を経費に入れる前の金額:限度額計算に使う所得は、寄附金を損金に算入する前の当期の所得です。寄附金を引いた後の利益で計算すると限度額が小さくなり、損金不算入額を多く計上してしまいます。
- 資本金基準は「月数按分」、所得基準は按分しない:設立初年度や決算期変更で事業年度が12か月未満のときは、資本金基準だけを「当期の月数 ÷ 12」で按分します。所得基準はそのままです。
- 別枠を超えた特定公益増進法人への寄附は一般枠へ回す:たとえば別枠が175万円で公益財団法人に200万円寄附した場合、超過25万円は一般寄附金の枠(例1なら37.5万円)で判定します。一般寄附先への寄附と合算して一般枠を超えた分が損金不算入です。
よくある質問(FAQ)
Q. 個人と法人の寄附金控除はどう違いますか?
Q. 法人版ふるさと納税はありますか?
Q. 認定NPO法人への寄附は?
Q. 赤字の年に寄附すると損金にできますか?
Q. 損金不算入になった寄附金は翌年に繰り越せますか?
Q. 入力データはどこに保存されますか?
⚠ 出典・注意
出典: 法人税法 第37条(e-Gov 法令検索)、国税庁「No.5283 寄附金の損金算入」。 本ツールは試算値で、実際の申告は顧問税理士・経理担当へご確認ください。
最終更新日: 2026年9月25日
変更履歴
- 2026年9月25日: 解説・具体例・FAQを追加
- 2026/05/08 — FAQ・注意点・出典リンク追加
- 初版公開