複利の元金逆算とは
将来一定の金額(FV)を受け取りたいときに、いまいくら元金(PV)を用意しておけばよいかを複利運用で逆算します。退職金、教育資金、住宅頭金などの目標額から逆算する目標額逆算(ターゲット型)の計算に使われます。
計算式
PV = FV ÷ (1 + r/k)n×k
r:年利率、k:年あたりの複利回数、n:年数
割り算の分母 (1 + r/k)n×k は「終価係数」、その逆数 1 ÷ (1 + r/k)n×k は「現価係数(複利現価係数)」と呼ばれます。計算結果に表示している現価係数に目標額を掛けるだけで必要元金が出るので、目標額を変えて試すときは係数を覚えておくと便利です。
このページの使いどころ
「10年後に100万円」「15年後に300万円」のようにゴールの金額と期限が先に決まっていて、いま一括で用意する元金を知りたいときに使います。同じ複利でも、元金から将来の金額を求めるなら終価係数計算機、必要な利回りを求めるなら利率逆算、何年かかるかを求めるなら経過年数の計算機が向いています。毎月コツコツ積み立てる前提の逆算はこのページの対象外です(後述のFAQ参照)。
計算手順と数値例
例1:10年後に100万円、年利3%、1年複利(初期値)
① 年利率を小数にする:3% → 0.03
② 1期あたりの利率と期数を求める:k=1 なので 0.03、期数 10×1=10
③ 終価係数:(1 + 0.03)10 = 1.343916
④ 現価係数:1 ÷ 1.343916 = 0.744094
⑤ 必要元金:1,000,000 × 0.744094 = 744,094円(増加分 255,906円)
例2:同じ条件で月複利にした場合
1期あたりの利率は 0.03 ÷ 12 = 0.0025、期数は 10×12=120。現価係数は 1 ÷ 1.0025120 = 0.741096 となり、必要元金は 741,096円。年複利より 2,998円少ない元金で済みます。複利回数が増えるほど必要元金は小さくなりますが、差は数千円単位にとどまります。
例3:15年後に300万円、年利3%、1年複利
現価係数 1 ÷ 1.0315 = 0.641862、必要元金 3,000,000 × 0.641862 = 1,925,586円。目標額が3倍でも係数は同じなので、係数さえ分かれば暗算に近い感覚で試算できます。
早見表:100万円を用意するために今必要な元金(1年複利)
| 年利率 \ 期間 | 5年 | 10年 | 15年 | 20年 | 30年 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1% | 951,466円 | 905,287円 | 861,349円 | 819,544円 | 741,923円 |
| 2% | 905,731円 | 820,348円 | 743,015円 | 672,971円 | 552,071円 |
| 3% | 862,609円 | 744,094円 | 641,862円 | 553,676円 | 411,987円 |
| 5% | 783,526円 | 613,913円 | 481,017円 | 376,889円 | 231,377円 |
目標額が200万円なら表の値を2倍、50万円なら半分にすれば使えます(PV は FV に比例するため)。
計算結果の読み方
結果欄には「現価係数」「増加分(FV − PV)」「必要元金 PV」の3つが出ます。現価係数は目標額1円あたりに必要な元金で、0.744094 なら「目標額の約74.4%を今用意すれば足りる」という意味です。増加分は運用によって増える金額で、目標額から必要元金を引いた値です。例1では 1,000,000 − 744,094 = 255,906円が10年間の利息にあたります。増加分が目標額のどれくらいを占めるかを見ると、「自分で用意する分」と「運用に任せる分」の割合が把握できます。
複利周期を変えると必要元金はどう変わるか
同じ「年利3%・10年後に100万円」でも、利息が元金に組み入れられる回数(複利周期)によって必要元金は少しずつ変わります。回数が多いほど利息が利息を生む機会が増えるため、必要元金は小さくなります。
| 複利周期 | 1期の利率 | 期数 | 現価係数 | 必要元金 |
|---|---|---|---|---|
| 1年複利 | 3% | 10 | 0.744094 | 744,094円 |
| 半年複利 | 1.5% | 20 | 0.742470 | 742,470円 |
| 四半期複利 | 0.75% | 40 | 0.741648 | 741,648円 |
| 月複利 | 0.25% | 120 | 0.741096 | 741,096円 |
1年複利と月複利の差は 2,998円(約0.4%)。周期の違いより、年利率が1%違うことのほうが結果への影響は大きくなります(早見表の3%と2%の10年を比べると差は約7.6万円)。
よくある間違い・注意点
- 利率は「%」の数字のまま入力する:年利3%なら「3」。「0.03」と入れると年利0.03%として計算され、必要元金がほぼ目標額と同じになります。
- 税引後の利回りで考える:預金利息や債券の利子には税金がかかるため、実際に手元に残る利回りは表示利率より低くなります。厳密に見積もるなら税引後の利回りを入力してください。
- 複利周期は商品の実態に合わせる:利息が年1回付くのか半年ごとかで結果が変わります。商品説明に「半年複利」とあれば「半年複利」を選びます。
- 目標額は将来の物価で考える:10年後の100万円は今の100万円と同じ価値ではありません。物価上昇を織り込むなら、インフレ換算計算機で目標額を膨らませてから逆算します。
- 利回りは保証されない:投資信託や株式のように利回りが変動する資産では、入力した年利率どおりに増えるとは限りません。投資判断はご自身でお願いします。
- 試算値と実際の受取額は差が出ることがあります:実際の預金や金融商品では、利払いの時期、複利の周期、手数料、利子にかかる税金(源泉20.315%)、日数計算の基準(365日・360日)が商品ごとに異なります。この計算機は入力した利率と期間だけで計算するため、商品説明書や取引残高報告書の数値とは一致しないことがあります。
関連する計算機
- 終価係数計算機:元金から将来の元利合計を求める(このページの逆方向)
- 複利計算(経過年数):目標額に到達するまでの年数を求める
- 複利計算(利率逆算):元金と目標額から必要な利回りを求める
- 単利の元金逆算:利息が元金にだけ付く単利で逆算したいとき