傷病手当金とは
病気やけがの療養のため働くことができず、会社を休み、給与の支払いを受けられない場合に、健康保険から支給される所得保障の制度です。業務外の事由による傷病が対象(業務上は労災保険)です。
支給要件
- 業務外の病気・けがの療養のため労務不能であること
- 連続する3日間(待期期間)を含み4日以上仕事を休んでいること
- 休業期間中に給与の支払いがないこと(一部支給の場合は差額)
計算式
傷病手当金 日額 = 支給開始日以前12か月の各月の標準報酬月額の平均額 ÷ 30 × 2/3
※ ÷30 の段階で10円未満を四捨五入、最終額は1円未満を四捨五入します。
※ 加入期間が12か月未満の場合、別途計算式が適用されます。
計算の手順と具体例
- 標準報酬日額 = 支給開始日以前12か月の各月の標準報酬月額の平均 ÷ 30(10円未満四捨五入)
- 傷病手当金 日額 = 標準報酬日額 × 2/3(1円未満四捨五入)
- 支給対象日数 = 欠勤日数 − 3日(待期期間)
- 合計 = 日額 × 支給対象日数
数値例1:標準報酬月額の平均300,000円、30日欠勤。標準報酬日額 300,000 ÷ 30 = 10,000円、日額 10,000 × 2/3 = 6,666.7 → 6,667円、支給対象 27日、合計 6,667 × 27 = 180,009円。
数値例2:標準報酬月額の平均260,000円、30日欠勤。260,000 ÷ 30 = 8,666.7 → 10円未満四捨五入で 8,670円、日額 8,670 × 2/3 = 5,780円、合計 5,780 × 27 = 156,060円。
数値例3(長期):標準報酬月額の平均300,000円で1年6か月(548日)休んだ場合。545日分で 6,667 × 545 = 3,633,515円が通算支給期間の上限に当たる目安です。
※ 「標準報酬月額」は健康保険料を決めるために給与を等級ごとに区切った額で、給与明細の健康保険料から逆算するか、勤務先または協会けんぽ・健康保険組合で確認できます。実際の給与額ではありません。
早見表(30日欠勤・支給対象27日)
| 標準報酬月額の平均 | 標準報酬日額 | 傷病手当金 日額 | 27日分 |
|---|---|---|---|
| 200,000円 | 6,670円 | 4,447円 | 120,069円 |
| 260,000円 | 8,670円 | 5,780円 | 156,060円 |
| 300,000円 | 10,000円 | 6,667円 | 180,009円 |
| 360,000円 | 12,000円 | 8,000円 | 216,000円 |
| 410,000円 | 13,670円 | 9,113円 | 246,051円 |
| 500,000円 | 16,670円 | 11,113円 | 300,051円 |
| 300,000円(10日欠勤) | 10,000円 | 6,667円 | 46,669円(7日分) |
| 300,000円(90日欠勤) | 10,000円 | 6,667円 | 580,029円(87日分) |
申請先・申請の流れ・期限
- 申請先:加入している健康保険(協会けんぽなら勤務先所在地の都道府県支部、健康保険組合なら各組合)。多くの会社では総務・人事経由で提出します。
- 申請書の構成:協会けんぽの「傷病手当金支給申請書」は、被保険者記入用(本人)、事業主記入用(会社が出勤状況と給与支払いを証明)、療養担当者記入用(医師が労務不能の期間を証明)の各ページに分かれています。医師の証明は「診断書」ではなく申請書の所定欄で足ります。
- 申請の単位:給与の締め日に合わせて1か月ごとに申請するのが一般的です。まとめて申請することもできますが、その間は無収入になります。
- 支給までの期間:協会けんぽでは受付から10営業日前後で振り込まれます(書類に不備がない場合)。
- 時効:労務不能だった日ごとに、その翌日から2年で請求権が消滅します。過去分に心当たりがあれば、2年以内なら遡って申請できます。
よくある間違い・注意点
- 待期3日は「連続」が必要:飛び飛びで3日休んでも待期は完成しません。土日や有給休暇を含めて連続3日なら成立します。労災の休業補償(通算3日)とは扱いが違います。
- 計算の元は「給与」ではなく「標準報酬月額」:残業代の変動は反映されず、支給開始月の前12か月の標準報酬月額の平均で固定されます。途中で昇給しても日額は変わりません。
- 給与が一部支払われると差額支給:休業中に給与(傷病手当金より少ない額)が出た場合は、傷病手当金との差額だけが支給されます。給与の方が多ければ支給されません。
- 「通算」1年6か月に変わった:令和4年1月以降は、途中で復職した期間を除いて支給された日数を通算します。復職と休職を繰り返しても、実際に受給した日数が合計1年6か月に達するまで受け取れます。
- 退職後も続けて受け取れる場合がある:退職日までに継続して1年以上被保険者であり、退職日に傷病手当金を受けているか受けられる状態なら、退職後も残りの期間を受給できます。ただし退職日に出勤して挨拶などをすると「労務可能」とみなされ打ち切られることがあります。
- 傷病手当金は非課税:所得税・住民税の対象外で、確定申告も不要です。ただし休職中も健康保険料・厚生年金保険料は本人負担分が発生するため、会社への支払い方法を確認してください。
関連する計算機
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