繰上返済とは
繰上返済(くりあげへんさい)は、住宅ローンの返済中に、毎月の返済とは別に元金を一部または全額前倒しで返す方法です。 返済元金が減るため、その後の利息計算の元金も減り、総利息を大きく節約できます。
この計算機は、借入額・年利・返済期間・返済方式(元利均等/元金均等)に加えて、「何回目の返済のあとに、いくら繰上返済するか」を複数件入力すると、繰上返済をしなかった場合と比べた利息の節約額と短縮される期間(期間短縮型)または新しい毎月返済額(返済額軽減型)を出します。使う場面は、ボーナスや相続などまとまったお金が入ったときに「今返すと利息がいくら減るか」を確かめるとき、5年後・10年後と分けて返す計画を比べるとき、期間短縮型と返済額軽減型のどちらを選ぶか迷ったときなどです。
計算式と手順
元利均等返済の毎月返済額 M は、借入元金 P・月利 r(年利 ÷ 12)・返済回数 n から次の式で決まります。
M = P × r × (1 + r)n ÷ {(1 + r)n − 1}
毎月の利息は「その月の残高 × r」で、返済額から利息を引いた残りが元金の返済に回ります。計算機は1回目から順に残高を減らしていき、指定した回の返済後に繰上返済額をそのまま残高から差し引きます。
- 期間短縮型:毎月返済額 M はそのままで、残高がゼロになった時点で終了します。予定より早く終わった回数が「短縮期間」です。
- 返済額軽減型:繰上返済後の残高と残り回数で上の式を計算し直し、以後の毎月返済額を下げます。期間は変わりません。
数値例1:借入3,000万円・年利1.5%・35年・元利均等、60回目と120回目に100万円ずつ繰上(初期値)
毎月返済額 M = 30,000,000 × 0.00125 × (1.00125)420 ÷ {(1.00125)420 − 1} ≒ 91,855円。繰上なしの利息合計は約858万円(8,579,239円)。
期間短縮型:利息合計 ≒ 7,615,384円 → 節約額 約96万円(963,855円)、期間短縮 32か月(420回 → 388回で完済)。
返済額軽減型:利息合計 ≒ 8,136,998円 → 節約額 約44万円(442,242円)、120回目以降の毎月返済額は91,855円 → 84,405円(約7,450円減)。
数値例2:同条件で、60回目に300万円を1回だけ繰上
期間短縮型:節約額 約156万円(1,562,045円)、期間短縮 49か月。返済額軽減型:節約額 約73万円(727,298円)、毎月返済額は81,502円に下がります。同じ300万円でも、期間短縮型の節約額は返済額軽減型の2倍を超えます。
繰上時期別の効果 早見表(借入3,000万円・年利1.5%・35年・100万円を1回繰上)
同じ100万円でも、返済開始から早い時期に繰り上げるほど節約額が大きくなります。
| 繰上する回 | 期間短縮型:節約額 | 短縮期間 | 返済額軽減型:節約額 | 軽減後の月返済 |
|---|---|---|---|---|
| 12回目(1年後) | 647,209円 | 17か月 | 277,193円 | 88,725円 |
| 60回目(5年後) | 552,344円 | 16か月 | 242,433円 | 88,404円 |
| 120回目(10年後) | 441,328円 | 15か月 | 199,809円 | 87,856円 |
| 180回目(15年後) | 338,184円 | 14か月 | 158,109円 | 87,030円 |
| 240回目(20年後) | 242,360円 | 13か月 | 117,337円 | 85,648円 |
金利が高いほど効果も大きくなります。年利3.0%で同じ「60回目に100万円」を期間短縮型で繰り上げると、節約額は約140万円(1,396,685円)、短縮期間は20か月です。返済額軽減型で「軽減後の月返済」が繰上時期が遅いほど低くなるのは、残り回数が少ない分、100万円の元金減少が1回あたりに大きく効くためです。
期間短縮型 vs 返済額軽減型
| 項目 | 期間短縮型 | 返済額軽減型 |
|---|---|---|
| 月返済額 | そのまま | 下がる |
| 返済期間 | 短くなる | そのまま |
| 利息削減効果 | 大きい | ある程度 |
| 向く人 | 早く完済したい人 | 月の負担を減らしたい人 |
繰上返済 vs 投資、どちらが得?
手元資金がある時、「繰上返済」と「投資・貯蓄」のどちらが得かは、ローン金利と投資利回りの大小で判断できます。
- 住宅ローン金利が 1%以下 なら投資が有利になりやすい(株式インデックス長期5〜7%)
- 住宅ローン金利が 2%以上 なら繰上返済が無難
- 住宅ローン控除(13年・残高 0.7%)期間中は繰上より残高を維持した方がトクな場合あり
- 団信(団体信用生命保険)が付いている分も考慮
手数料と最低額
- ネット銀行: 多くが無料(一部回数制限あり)
- 大手銀行: 1回 0〜数千円〜数万円(窓口・電話・ネットで異なる)
- 最低額: 1万円〜100万円(金融機関による)
関連する計算機
- ローン返済シミュレーター ↗ — 元利均等/元金均等で月返済額を計算
- ボーナス併用返済 ↗ — ボーナス併用返済の月返済額を計算
- 借入可能額 ↗ — 月返済額から借入可能額を逆算
- 複利計算(投資 vs 繰上の比較)↗ — 元金・利率・期間から複利計算
よくある間違い・注意点
- 住宅ローン控除期間中は控除メリット優先:年末残高×0.7%の控除中は、繰上返済より残高維持で還付額を取る方が得な場合があります。
- 手元現金は最低6ヶ月分の生活費を確保:繰上で資金を使い切ると、急な失職・病気で苦しくなります。
- 繰上手数料:金融機関により無料〜数千円。ネット手続きなら無料が多いです。本ツールは手数料未考慮。
- 期間短縮型と返済額軽減型の違い:期間短縮型は利息削減効果が大きく、返済額軽減型は家計の余裕を作ります。
- 「回」は月数で入力する:繰上時期は「何年後」ではなく返済回数で指定します。5年後なら60、10年後なら120です。年数を入れると1年目のごく早い時期に繰り上げた計算になり、節約額が実際より大きく出ます。
- 繰上額が残高を超える入力:残高より大きい額を入れても、残高までしか繰り上げられません。完済時期を知りたいときは返済表の「残高」列を先に確認してください。
- 期間短縮型は「返済額がそのまま」なので家計の余裕は増えない:節約額は大きくても、毎月の支出は変わりません。教育費のピークが数年後に来る家庭では、あえて返済額軽減型を選ぶ判断もあります。
よくある質問(FAQ)
Q. 繰上返済はいつすべきですか?
Q. 期間短縮型と返済額軽減型、どちらが得?
Q. 繰上返済か投資か?
Q. 繰上の最低金額は?
Q. 100万円を繰上返済すると利息はいくら減りますか?
Q. 複数回に分けて繰り上げるのと、まとめて繰り上げるのはどちらが得ですか?
Q. 入力データはどこに保存されますか?
⚠ 出典・借入判断にあたっての注意
出典: 住宅金融支援機構「フラット35 繰上返済」、フラット35「ご利用条件」、国税庁「住宅借入金等特別控除」。 本ツールは試算値で、繰上手数料は含みません。実際の繰上手続きは金融機関の窓口にてご確認ください。
最終更新日: 2026年9月21日
変更履歴
- 2026/09/21 — 解説・具体例・FAQを追加
- 2026/05/08 — FAQ・注意点・出典リンク追加
- 初版公開